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そば創りノ日々

高遠の地で蕎麦に魅せられ関西から移住の決断をしたご夫婦が届けるプレミアムな蕎麦


プロフィール
岸野靖典さんの略歴〉
1977年大阪府豊中市生まれ。
高卒後大阪市内でバーテンダーをした後、19年間機械メーカーの営業職担当。
2017年 関西から伊那市に移住し、その1年後 伊那市にある赤石商店にて蕎麦屋を開業。
2021年高遠町にて自店舗を構えて今に至る。
 
岸野知子さんの略歴〉
1974年兵庫県神戸市生まれ。
短大卒業後いまのPana Homeで7年間勤め28歳から居酒屋で働き、
35歳で結婚し37歳の時に娘ちゃんが誕生。

──本日はお忙しい中ありがとうございます!  きしのさんの想いを多くの方に届けられるようにお話を伺えたらとおもいます。よろしくお願いします!それでは、お2人馴れ初めや自己紹介からお願いします。

私どもは2010年に結婚し、2012年に娘が誕生しました。

2017年には長野県伊那市に移住してきて、1年後の2018年に伊那市にある共同シェアキッチンの〔赤石商店〕にて蕎麦屋を開業し週に2回のランチ営業を3年間続けました。 その後、2021年の4月から高遠城址公園の近くに自店舗を構えて蕎麦屋をしています。

≪自店舗≫

──そうだったんですね!私が赤石商店で出逢えたきし野さんの蕎麦を食べた時の感動は今でも忘れません!きしのさんのそばとの出逢いについてお聞かせください。

今から15年くらい前かな。

観光で伊那市を訪れた時に茅野市にある『峠の茶屋』というお蕎麦屋さんで義理の兄が打ったお蕎麦を食べて感動したことが蕎麦との出逢いです。

そこから自分で蕎麦を打ってみたりもしたけど、それがまた衝撃的に不味くて。

何この蕎麦!と、、( ;  ; )短いし麺線はバラバラだし粉っぽいし凄く美味しくない蕎麦ができたと。

それで、この凄く美味しいお蕎麦と凄く美味しくないお蕎麦、この差はなんなのかなっと日々いろいろ調べたりしているうちにどっぷり蕎麦にハマってしまっていた。

“衝撃”  と“衝撃”がぶつかった瞬間でした!

──出逢った蕎麦がきっかけで研究し始めたのですね! もともと関西の方ですがどのような想いで伊那に移住してきてまで蕎麦屋を始めようと思ったのですか?

当時は機械製造業のサラリーマンをしてたんだよね。 妻の家系が商売一家ということもあってこのまま年を重ねてサラリーマンとして終わるのか、一念発起して妻と商売を始めるかという心のざわつきが起き始めていた。

いや、でも会社員を辞めるわけにもいかんよなと。
その時小さな娘もいて、養っていかないといけないし安定収入を求めるのであればこのまま会社員を続けておいた方がいいだろうけども、妻とも飲食店の商売をしたいし、僕が味わった蕎麦への美味しさや感動を伝える側にたっても面白いなという想いの中で日に日に蕎麦屋になろう!蕎麦屋になりたい!!と思うようになった。

また、伊那には高遠そばという焼き味噌と辛味大根と刻みネギを合わせて食べる独特なつゆにも衝撃をうけたのもあって、この高遠そばを僕自身でも発信させていただきたいと思い、蕎麦屋になるために今は伊那市ですが上伊那郡旧高遠町でお店を構えたいと思ったことがきっかけです。

≪きし野の高遠そば≫

妻に蕎麦屋になりたいと伝えたところ「いいやん!感動した伊那市に行こう!」と言ってくれたおかげでそこから1年程仕事の引き継ぎなどをして、2017年に伊那市に移住してきました。

──いろんな葛藤がある中で蕎麦屋になるために奥さんの後押しもあり家族で移住されたことがすごい決断だったと思います。 知子さんとしてはどんなおもいでしたか?

家族の空気を変えたいタイミングだと思い、また、夫がいろいろ考える歳でもあったため縁もあり蕎麦が好きで食べることも好きやから好きなことなら作れるかなと思いました。

娘にはマインドコントロールして(笑)、 夫にはしんどい顔で働いてお金稼ぐよりやりたい事を楽しくしている側でいてほしいと思っていました。

──奥さんの立場で家庭のことを思い、後押しできたことがすごいことだとおもいます!!長野県高遠町に移住してまでも「高遠そばを届けたい!」という想いがあって蕎麦屋を始められたのですね! 移住することに対してはどんな想いで決断することができましたか?

伊那市は各学校・保育園でそれぞれ特殊な教育方針をしていてある時、新山保育園の見学をさせてもらった時に環境が素晴らしく良くてね!都会にはない、静かで空気が綺麗で風は気持ちが良いし山が近くにあってこの環境は最高だなと思い、ここに娘を通わせたいなと思えた環境だったことも決断した1つかな。

それこそ元々はサラリーマンだったから、そばもつゆも作れないのにと。

周りから頭おかしいんじゃないと言われて99%の方に蕎麦屋をすることを反対されていたんだよ。 それでも僕が感動したように美味しいお蕎麦を提供したいという想いが勝ってたんで情熱もって蕎麦を追求し、蕎麦を提供しようと決めました。

──そうなんですね。生活していく環境としても良いですし、人柄もあたたかい方ばかり集まる高遠町が私もすきです! ゼロから始められた蕎麦打ちなどはどのようにして学びましたか?

当時、勉強させていただいたのが【壱刻】【ますや】【梅庵】の3店舗で蕎麦打ちや経営ノウハウ・おつゆ作り・仕入れ等を1年間ローテーションで勉強させてもらった。 他には当時伊那市議会議員のS.Iさんの関係で高遠の新そば祭りにて毎日のように朝から夕方までずっと打たせてもらい、そこでの経験のおかげで蕎麦打ちの技術が上達できたと思う。

≪そば切り≫

──改めてお話聞いて、蕎麦に関わってから1年後には赤石商店で蕎麦屋を始められたことが凄いことだとおもいますし、きしのさんご夫婦の人柄や行動力・想いがあってこそだと思います。 毎朝その日打つ分のそばを製粉している想いや蕎麦を打つ時のこだわりなどお聞かせください。

長野県信州は蕎麦の栽培地で美味しくなる条件の水や気候が整ってると思っていて恵まれた美味しいそばの素材を愚直に製粉して打つと美味しいお蕎麦が出来上がる。

蕎麦の実は製粉する前は蒔けば芽がでる状態だからまだ生きていて、そのお命をいただいて製粉するわけだから、製粉したらすぐに打ち、麺にさせていただくという想いでいます。

お蕎麦もお刺身と一緒で生きている魚を締めて捌くわけだから丁寧に蕎麦粉にすることは常日頃から意識していることです。 その中で製粉によって香りや食感が変わってくるのでどこまで玄ソバのポテンシャルを引き出せるかを日々研究しています。

──そうなんですね、お蕎麦を扱うときに些細な部分までこだわっているからこそきしのさんのお蕎麦は香りがよく蕎麦そのものの甘みも感じられる美しい蕎麦も大好きです! 通常営業の時に提供しているお蕎麦と2月に提供していたプレミアム蕎麦についてご説明お願いします。

通常営業日には信濃一号の丸抜き十割蕎麦と信濃一号の玄挽き二八蕎麦(細打ち・平打ち)を提供しております。

プレミアム蕎麦三昧とは薬膳蕎麦・入野谷在来そば・みぶ萌そばの3種類のそばのことです。

まず、薬膳蕎麦(韃靼蕎麦)は伊那市内で栽培された『気の力』という品種名の韃靼蕎麦を使いました。普通の蕎麦より〝ルチンが約200倍高く” 機能性食材として期待されているものです。

2つ目の入野谷在来そばは、比較的小粒で香りが強く玄挽き製粉粗挽きそばで提供しています。この在来種は長野県塩尻市の試験所施設で封筒に20gだけ入っていたものを2014年に見つけ、復活させるために産学官民が一体となり2019年から一般販売できるようになった“幻の蕎麦”です。

≪薬膳蕎麦と入野谷在来そば≫

3つ目のみぶ萌そばは、《無製粉冷水浸漬湿式胴搗き製法》のお蕎麦で信州大学農学部の井上直人名誉教授によって開発された【千本杵搗き装置】を使い、蕎麦の実を製粉せず打ち上げるおそばです。この製法をすることによって“GABAの値が約10倍”に増えます。

≪千本杵搗き装置とみぶ萌そば≫

──どれも特徴を引き出した製粉の仕方や打ち方のこだわりがあり、それぞれの良さを食べて感じることができインパクトの残るお蕎麦を堪能できますね! お蕎麦の提供以外にもお店で様々なイベントが行われていますが、どんな想いで開催していますか?

いろんな方にお蕎麦と出会ってもらうためにも、敷居高いイメージが強くならないような敢えて、蕎麦屋っぽくしすぎないように店構えも考えていました。

おばあちゃん家に来たくらいの感覚に思ってもらえるように、前住んでた方が使っていた机や椅子を残しています。

また、ファミリー層の方々もゆっくりできる場所にしたいなと思っており、気軽に来ていただけるためにもお座敷席も作りました。

蕎麦屋をしながら、何か楽しいことをできたらいいなと思っており、お蕎麦の提供以外に子供達が主体のフリマ・お祭りや、ジャズ演奏とのコラボイベント等を行ったり作家さん達の芸術作品の展覧会も随時開催しております。

素敵な方々を繋いで、イベントで音楽聴きに来た方がお蕎麦に出会えたり、お蕎麦を食べに来た方がモルックという遊びに出会えるきっかけになるような楽しいことを今後も広げていきたいとおもいます。

今月は『蕎麦とスパイスカレーが出会ったら』のコラボイベントも開催予定で新しい世界を提供できたらとおもいます。

≪コラボイベント≫

<いろんな方とコラボしながらご縁がつながっていくことがとても素敵ですね!! 最後に、きし野さんにとっての“そば色”とは何ですか?>

【それは勿論、タカトオコヒガンザクラの“桜色”です。】

わたしは高遠に魅せられて高遠で蕎麦屋を開きました。高遠を代表するこの桜の桜色こそ私のそば色です。

高遠といば、焼き味噌と辛味大根をといていただくお薬味の【高遠そば】と日本100名城に選定されている【高遠城址公園の桜】がとても綺麗で美しくそんな高遠の魅力を知ってもらえるきっかけの1つとして来てもらえたら嬉しいなと思います!!

高遠は素晴らしいところよ。

移住に興味がある方にも知ってもらえたら嬉しいです!やっぱりなんでも《情熱》をもっていればみなさんに応援してもらえるんやと思った。 信州高遠は環境が良くて住みやすく、蕎麦も美味しいということをこれかもお伝えしていきたいなと思っています!

≪桜のついたお蕎麦≫

蕎麦きし野
Instagram : @soba_kishino

店舗情報
店名:きし野
住所:〒396-0213 伊那市高遠町東高遠2226-1
TEL:0265-97-1096
営業時間:11:00~15:00(L.O.14:00)
定休日:月曜日、火曜日

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蕎麦打ち 彩

蕎麦打ち 彩

蕎麦打ち&蕎麦スイーツ女子

高校3年生の時にトマトそばを打ちたいと思ったことがきっかけで、蕎麦打ちを始めその年の全国高校生蕎麦打ち選手権大会に出場。 蕎麦の魅力に惹かれて、現在は蕎麦イベントに参加したり、蕎麦打ち講師やそばスイーツの開発等、蕎麦を通して人との繋がりやそばの可能性を広げていくために活動中。

  1. 高遠の地で蕎麦に魅せられ関西から移住の決断をしたご夫婦が届けるプレミアムな蕎麦

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