蕎麦に携わる「想い」にスポットをあてる     蕎麦好きによる唯一無二のメディア

そば創りノ日々

福井県唯一!! 自慢の塩だしおろしそばの継承者


“蕎麦”に携わる人々の想いを紡いでいく、【そば色ノ日々】。第6回目の今回は、福井県今立群池田町の地にて、旨味溢れる、県内でも唯一の、塩だしおろしそばを継承されている、山内さんをご紹介させていただきます。

プロフィール
<一福 三代目 山内 さんの略歴>
1990年生まれ。商業高校卒業まで野球に明け暮れる日々。
高校卒業のタイミングで、一福の塩だしおろしそばを継ぐことを決意し、現在三代目。

──本日はお忙しい中にも関わらず、インタビューのお時間をいただきまして本当にありがとうございます。早速いろいろとお話をお伺いしていきたいと思いますが、まずは山内さんの自己紹介からお願いできますでしょうか?

本日はありがとうございます。こうして、自分のお蕎麦に対する想いを伝えられる場、本当に嬉しいです。

さて、私は小学校のころからずっと野球ばかりをやっていて、商業高校にも野球で入ることが出来ました。正直、勉強は少し苦手なこともあって、元々、一福を継ぐことは決めていたこともあって、簿記などの試験もお恥ずかしながら、全部落ちてしまいましたし、商業高校に通っているにも関わらず、結局資格は一つも取れずに卒業しました。野球部の友人なんかは、資格もとって、大手の企業に就職したりしていましたね。

もともと一福を継ぐという意識も、長男が学校の先生になるとの夢もあって、大学に進学していくのを見て、自分しかいないよなぁと、結構早いタイミングから強く思っていましたね。

と、いうものの、実は長男も結局先生にはならずに、蕎麦の道に入っていて、福井市の一福Diningの方をやっています。

──お蕎麦屋さんを継ごうと元々強い意識があったのですね。そうした、継ごうという意識の源泉っておありだったのでしょうか?

一福の初代は、自分の祖父にあたります。祖父とは幼いころからずっと一緒にいて、祖父が打つお蕎麦と、そのころからの唯一無二の塩だしおろしそばが大好きでした。そして、小学生のころから、一福は自分が継ぐんだということをずっと言っていましたね。それだけ蕎麦が好きだったんです。

本当にお蕎麦が大好きで、居酒屋行って呑んだ帰りの〆も必ず蕎麦です。業務用のお蕎麦を出されていることを知っていながらも、やっぱ蕎麦なんです。 とにかく本当に蕎麦が好きなんです。

──商業高校卒業後、お蕎麦の修行などはされたのでしょうか?

はい、商業高校卒業後の18才の時に、修行は滋賀県のとある料理屋さんで仕事をさせていただく予定でした。

しかし、就職してすぐに、父が山菜取りに行った際にマムシに噛まれてしまって、手が腫れあがってしまって、蕎麦打つ人がいないという状態にお店がなってしまったんです。

その時点では自分はまだ蕎麦を打てなかったけど、自分がやるしかないということでゴールデンウィークが始まるまで本当に毎日毎日毎日毎日ずっとずっと蕎麦打ちの修行をしました。

蕎麦を延ばしては、切って、延ばしては、切っての繰り返しの日々でした。そうこうしていると、ゴールデンウィークに入るころには、しっかりと延ばすことが出来るまでにはなったのですが、切るのが難しいんですね。

一福では、蕎麦を切るときに、こま板を使わないんですね。手の感覚だけでやっていまして、もともと田舎蕎麦なので、太い、そして不揃いなのも売りの一つではあるのですが、あまりにも度が過ぎていました。お客様に出せない蕎麦が、ボウルに山のようにたまっていきました。なんとかお出しするに値する蕎麦だけを選別して、出していたので、なんとかはなりましたが、しっかり修行をしないといけないなと心を新たにしました。

また、初年度には、そろそろまぁまぁ上手いお蕎麦が出せるようになってきたのではと思い始めだしたころ、常連のお客さんから、『こんなもん蕎麦じゃない』と怒られたこともありました。他のお客様には美味しいとほめていただけるようなレベルになり始めていたのですが、常連のお客様の目は厳しかったですね。

その一言に、また火をつけられて、蕎麦打ちにまい進する日々がまた始まりました。

その後、二年間ほどその常連さんはいらっしゃらなかったのですが、忘れたくらいの時に、ふらっとまたいらしていただきました。

それはもう、とっても緊張しましたよ。お蕎麦を食べて頂いて、今回は逆に一言もお言葉もなく帰っていかれて、『あれ?』と思ったのを覚えています。

そうすると、1時間後位に、急にお店の電話が鳴って、そのお客様に『美味しい蕎麦だったよ。この蕎麦ならまた来るよ』と一言、言って頂けたんです。それが自分が二十歳の時のことで、以来、本当に自信になりました。

──それ以来お蕎麦を毎日打ち続けていらっしゃると思いますが、お蕎麦への愛は深まっていっていますか?

はい、お蕎麦への愛は永遠に変わることはないと思っています。

蕎麦ってやっていけばやっていくほど、新しい発見があるんですよ。昔は、まだ慣れていないこともあって、少し不揃いの、良い田舎蕎麦が逆に打てていたんですよ。でも、毎日打っていると、腕が上がって、逆にとっても均等の蕎麦が打てるようになっていきました。そうすると、綺麗に切れすぎているもんだから、お客さんに、機械に変えたのか?と逆に言われるようになってしまって、我々が美味しいと思ってお出ししている、田舎蕎麦ならではのコンセプトから離れてしまったり、製麺所の方がお越しに慣れた際に、どこの製麺所から蕎麦を仕入れているのか?と聞かれてしまったり。笑

そんなこともあって、まだまだ完成形にはほど遠い所にいると思っている。

一方で、同じ年代のなかでは、本当に一番そばを打っているんじゃないかという自信はありますよ。しかも工程に機械は一切入れず、すべて手打ちに拘っている。

蕎麦の重ねる折り方とか、本当に沼にはまっていく感覚になる。

毎日打っていても、いままで気づかなかったことが気づくと楽しいですし、常に探求の日々です。10年以上やってきて、新しい境地に立ってる感じがしています。お客さまに美味いって言ってもらいたい一心で、究極の蕎麦を日々研究しています。

長男とも一緒に県内外色んなお蕎麦屋さんに出向いては、蕎麦だけではなく、お店の雰囲気、魅せ方などなど研究を重ねています。

──そんな蕎麦への愛が溢れる、一福さんのお蕎麦への拘りについて少し教えてください。

なんといっても、塩だしですね。

この塩だしでかれこれ60年近くやっていますからね。

元々祖父が、写真屋をやっていたのですが、知り合いを呼んでは、食事をふるまっていたみたいなんです。お蕎麦もふるまっていたようなのですが、みんな美味しい美味しいと言ってくれてたみたいで、その言葉にのせられて、蕎麦屋を始めたのが一福のスタートです。

そうしたお蕎麦屋さんを始めるにあたって、他のお店と同じことやっても、勝負にならないから、差別化したいと、いろんな蕎麦屋の出汁をフィルムケースにいれて、持ち帰っては研究を繰り返していたみたいです。

そんな中、とあるお店にいまの塩だしのヒントと出会ったとことです。最後の塩だしについては祖母が完成までもっていったとのことなのですが、なんと、お店のオープンの前日に出来上がったようです。お店で出すお蕎麦の味が固まったのが、オープン前日だなんて、今だと嘘のような話ですよね。笑

ちなみに、塩だしおろしそばと一言で言っても、ここ池田の地の水で無ければ同じ味にはならないんです。お蕎麦のために、山の水を引っ張ってきているんですよ。Diningの方でも、同じレシピで、水だけ変えて作ってみたこともあるのですが、全然違うだしになってしまいました。それくらい水で全然違うし、水が命なんです。蕎麦をゆでる時も全然違います。

他のところで、同じようにやってみたら、近しいものは出来るとは思いますが、一福の塩だしおろしそばと全く同じ味は出せないでしょうね。それだけ、池田の、ここの水が命であり、とても誇りに思っています。

──今後山内さんが挑戦していきたいことについてお話しお願いできますでしょうか。

今後は県内のみならず、海外も視野に新しい挑戦をしていきたいと思っています。

その一歩として、通販に取り組み始めています。来ていただいている、ここ池田町って、

中々みんなが来やすいかというと、難しい場所ですよね。全国の人に、もっと手軽に私たちのおいしい塩だしおろしそばを食べてもらいたいという気持ちから立ち上げました。

やっぱり自信のある、この塩だしおろしそばをもっと多くの人に知っていただきたいです。

とある栃木で行われたイベントに出展したことがあるのですが、その際、越前おろしそば自体も認知度が本当に低くて、驚きました。ただ、一口食べていただいたら、みんな本当に喜んでいただけた。知ってもらうこと、まずは食べてもらうことが第一歩だと思い、頑張っていきます!

あとは、このお店で出している、天然のわさびも自慢です。一福の塩だしおろしそばには、このわさびと一緒に食べていただくのがベストなんです。意外と皆さん、わさびを残されてしまうこともあるのですが、ぜひこのインタビューを見ていただいて、一福に来ていただくお客様には、ぜひ、わさびと一緒に楽しんでいただきたいと思っています。

また、冷たいのはもちろん、暖かいそばも自慢なんです。ぜひ、二杯、食べていっていただき、一福のそばを存分に味わっていただけたら、嬉しいです。

<最後に、山内さんにとっての“そば色”を教えてください>

【“みどり”ですね。】

この場所でしか出せない味。水もそうだし、自然もそうだし。ここをみんなにとってのオアシスの様な場所にしたいと思っています。

都会の人がきていただいた際に、心も身体も癒されて、帰って頂く、そんな場所にしたいと思っています。

店舗情報
店名:一福
住所:〒910-0006 福井県今立郡池田町34-24-1
TEL:0778-44-6121
営業時間:11:00~15:00
定休日:火曜日(祝日の場合は翌日休業)

  • 記事を書いたライター
  • ライターの新着記事
蕎麦屋 de 上機嫌

蕎麦屋 de 上機嫌

蕎麦酒タニスタ兼インスタグラマー

幼少期と学生時代、そして仕事でシンガポール、インド、ミャンマーと渡り歩いた末に帰国。お蕎麦屋さんでいただく“一杯”の魅力に取りつかれ、現在は全国のお蕎麦屋さん巡りをライフワークにする蕎麦屋酒ニスタ。 普段はIT系上場企業にてDXな事業に従事する傍ら、日々、蕎麦屋酒の魅力をSNSを通じて発信中                          InstagramID:sobaya.de.jyokigen

  1. 人に喜んでもらえる“蕎麦打ち”の魅力と感動を多くの人に広めたい

  2. 夫婦二人三脚で理想のお酒を愉しむお蕎麦屋さん創り

  3. 地域の人と人とを繋げるお蕎麦屋さん創り~自分の“やりたい”を叶えられる蕎麦屋さん開店への準備の軌跡~

関連記事

PAGE TOP