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そば創りノ日々

先代の越前おろしそばへの想いを継ぎ、次の展開を見据える


あみだそば 2代目 【永見 耕己】さん

プロフィール
<あみだそば二代目 永見 耕己さんの略歴>
関東の大学に通い中退。県内の飲食店にて業界のノウハウを習得後、現在二代目としてあみだそばを切り盛り。SNSでの発信にも力を入れている。

──本日はお忙しい中にも関わらず、インタビューのお時間をいただきまして本当にありがとうございます。早速いろいろとお話をお伺いしていきたいと思いますが、まずは、永見さんがあみだそばを継ごうと考えたきっかけを教えて頂けますでしょうか。

やはり父や母の背中をずっと見てきたことが大きかったと思います。大学を中退後は、飲食店に務めて、ノウハウ等を習得していたのですが、その後、やっぱりお蕎麦に携わりたいと想い、継ぐことを決意しました。ただ、ただただ継ぐだけではなく、外のノウハウも基に、いままでのあり方はリスペクトしつつ、色々と変革をしていきたいとも思っています。

例えば、提供しているお蕎麦の価格など、本当の価値を伝えていくことに挑戦したいと思っています。

父からは特に、”継ぐように”と言われたことは一度も無かったです。始めのきっかけは、あみだそばが福井駅前に移ってきてから暫くして、ありがたいことに、とても忙しくなって来た時に、父の身体のコトもあって、手伝うようになり、その後自然と継ぐコトを意識するようになっていきました。多分『継げ』と言われていたら、きっと継がなかったのだと思います。笑

──お蕎麦屋さんでは修行されていないとお聞きしましたが、永見さんはお蕎麦も打つのですか?

お蕎麦自体は今のところ打ってはおらず、父の打ったお蕎麦を提供させていただいています。いまはお店の経営をメインでみさせて貰っています。ただ、今後は蕎麦も打てるようになっていきたいと思っています。

ちなみに、私たちは27年以上ずっと橋詰さんのところの蕎麦粉を使わせていただいています。

──2代目として継いだことで、まず変革したことはなんですか?

まずは価格の見直しをさせていただきました。価値あるものに、価値ある値段設定は必要だと思っています。特にありがたいことに福井駅にお店を出させてもらえているので、特に県外からいらしていただくお客様に楽しんでもらうためにも、良いもの出して、しっかりと価値を感じて頂けることが、福井の越前おろしそば全体の価値向上にも繋がると信じています。

──あみだそばさんは今では本当に人気店で、県外の方にも広く知られていますよね

始めのきっかけは食べログでしたね。特にこちらから何かお願いをしたりとかはなかったのですが、口コミの評判が評判を呼んでくれたこと嬉しく思っています。

ただ今後はもっと多くのSNSを活用して広く、あみだそばはもちろん、越前おろしそばを知っていただけるような活動を予定しています。 実際に現在も YoutubeインスタグラムTikTok と幅広く活用し、それぞれの特徴を生かした拡散にも力入れています。

最近はShort動画に力を入れていて、TikTokでは16万回再生もされて、拡散力に手ごたえを感じています。

──積極的に新しいことにも挑戦されていて素敵ですね。ちなみに、どのような動画が一番伸びましたか?

勝山で、畑の草刈りから初めて、蕎麦を撒いて、実際に収穫するまでの一連をドキュメンタリータッチで動画を作っていました。お蕎麦に関わるようになったからこそ、実際に体験出来て本当に良かったと思っています。

──そうしたSNSでの活動を始めようと思ったきっかけはありますか?

コロナ禍において、どの飲食店さんも大変だったと思いますが、我々も同じく大変な時でした。他の飲食店さん達がテイクアウトを始めた頃に、私たちも始めようとも少し考えたのですが、やはり100%のお蕎麦をお届けできないと意味がないと思い結局やらなかったんです。特にうちは、十割に拘りを持っていて、それをテイクアウトにしてしまうと本来の美味しさの2割以下になってしまうんですね。お客様に満足したお蕎麦をご提供できない位なら、いっそのことやらないでおこうと決めたんです。

でも、時間だけはあるので、未来を見据えて、SNSを使っての発信を始めました。やって本当に後悔は一つもなく、むしろ、今日の様に様々な方との新しいつながりが生まれて、本当にSNSを始めてよかったなと感じています。出来て嬉しいです。

また、つながりだけではなく、実はSNSで発信を始めたころから、高校生や、女性一人のお客様も増えてました。もともとお蕎麦屋さんというと、男性の場所のようなイメージがあったのかもしれませんが、SNSを通じて、県内外問わず、広く多くの方にお店を知ってもらえたんだと思っています。

これから新幹線も通るようになるので、多くの県外の皆様に来ていただけるようになるためにも、今の内から、SNSで積極的に発信をしていこうと思っています。

実際にお客様からYoutubeを見て来ました!といっていただける方も増えてきています。

そして、自分のお店を紹介するだけではなく、福井の蕎麦文化の魅力全般を伝えていく、そうした活動をしていきたいと思っています。

──あみだそばの拘りを教えてください。

なによりも蕎麦粉に拘っています。先ほども話しましたが、橋詰さんの蕎麦粉は最高ですよね。

また、越前おろしそばに誇りを持っています。よくお客様にソースかつ丼はないの?と聞かれるのですが、やっぱ食べて頂きたいのは、越前おろしそばなので、ここでは出してないです。お蕎麦専門店としてのプライドをもって今後もやっていきたいと思っています。 畑で取れたお蕎麦を、橋詰さんが製粉して下さり、そして私たちがお客様にお蕎麦として提供する。そうした良い仕事のバトンを渡していく最後が私たちなので、しっかりとした仕事でお客様に美味しいお蕎麦に拘って楽しんでもらえるように考えています。

──最後になりますが、今後の展望を教えて頂けますでしょうか。

福井でお店を増やしていくということは今は考えていないです。チャンスがあれば、東京にお店を出して、より広く、あみだそば、そして福井の越前おろしそばを知って頂けるきっかけ作りに挑戦したいと思っています。

福井に来てもらうのを待っていてはダメ。しっかりこちらからアクションを取って、福井の、日本一の、そして世界一の越前おろしそばを知ってもらう意識が大切だと思います。

そのためにも、一店だけでやっていても限界があるので、同い年くらいの、お蕎麦の仲間と横でつながっていくことも今後はしていきたいと思っています。福井の中でパイを取り合うのではなく、福井に来てくれる人を増やすコトを一緒になってやっていくことで、パイを広げていく、そんな活動をしたいです。 また、あみだそばも、100年、200年と続くような、老舗として残していくことで、文化を継承していきたいと思っています。

<最後に永見さんにとっての“そば色”とは?>

【“白”ですね。】

いろんな色にも染まる可能性がある。やる人の想いで、何色にでもなる可能性を秘めている。自分色の蕎麦を、これからも作っていきたいと思います。

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店舗情報
店名:あみだそば 福の井店
住所:〒910-0006 福井県福井市中央1-2-1 ハピリン1F
TEL:0776-43-0739
営業時間:10:30~20:30(L.O.20:00)
定休日:無休

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蕎麦屋 de 上機嫌

蕎麦屋 de 上機嫌

蕎麦酒タニスタ兼インスタグラマー

幼少期と学生時代、そして仕事でシンガポール、インド、ミャンマーと渡り歩いた末に帰国。お蕎麦屋さんでいただく“一杯”の魅力に取りつかれ、現在は全国のお蕎麦屋さん巡りをライフワークにする蕎麦屋酒ニスタ。 普段はIT系上場企業にてDXな事業に従事する傍ら、日々、蕎麦屋酒の魅力をSNSを通じて発信中                          InstagramID:sobaya.de.jyokigen

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