プロフィール |
---|
<下平彩楓さんの略歴> 2000年10月15日生まれ 22歳 長野県 飯田市出身 高校を卒業後、地元のホテルにて1年間中華料理担当。 ホテルを退職後、憧れの菓子屋にてパティシエとして勤務する。 その後、蕎麦への想いが強くなりそばに携わる為フリーそば打ち職人となる。 |
──本日はお忙しい中、お時間いただきありがとうございます。
気軽に楽しく充実した時間に出来たらと思います!まず、彩楓さんの自己紹介をお願い致します。
こちらこそです!こんな素敵な取材をしていただけるなんて嬉しいです!
よろしくお願い致します!
私は、小学生の頃からパティシエになることが夢で、高校卒業後は製菓を学びたいと思い、専門学校への道も考えました。
ですが、家庭の都合により、就職を選択致しました。
就職先ではホテルの中華料理を担当しましたが、夢である、パティシエをあきらめきれず菓子屋へ転職を致しました。 そして現在は、フリーそば職人兼そばパティシエとして活動しています。
──夢をあきらめないって素晴らしいですね。蕎麦との出逢いはどんなことがありましたか?
はい、そばと出会ったのは高校3年生の時です。
私は大自然に囲まれた信州で育ちましたが、そば打ちを始めるまで打ち方やそばの実など全く知らず、見たこともありませんでした。
授業の課題研究で、母校で商品化されている『トマトジュース』を使ったそばを打ちたいと思ったことがきっかけで始めました。
トマトジュースを使用することで、リコピン等の栄養素が加わり健康に気を使ったお蕎麦に着目しました。
そして、社会人となった今、改めてトマトそばを打ちました。
甘みや色味を生かすため、丸抜きの粗挽きそばを使用し、風味も残せるようにこだわった変わりそばなんです。
トマトそば以外にも、高校の茶畑で収穫した『お茶』を使った茶そばにもチャレンジしました! 様々な食材やそば粉を使って研究しています!
そば打ちを始めて5か月足らずで全国高校生そば打ち選手権大会に出場しました。
大会に出ると決まってからは、多い日は朝1回、授業中1回、放課後1回と計3回そば打ち練習に励んだ日もありました。
この大会の評価基準は、最初の手洗いの仕方から始まり、そばを打つ姿勢、取り組み方、作法、そばの見た目などが評価されます。
種目としては個人戦のみ参加でしたので、大勢の中で競ったと思うと度胸が付いた気がします!(笑)
大会出てからどんなことでもまずは始めてみたいとおもうようになりました!
大会に参加できたことやそば打ちをゼロの状態から教えてくれた大会指導員でもあった飯田そばの会 会長の仁科 保さんやそば打ちの経験がある高校の先生に感謝です。 社会人になったあとも仕事休みの日には仁科さんの蕎麦打ち道場にも通っていました。
私が始めたそば打ちを、次の年の代の後輩が引き継いでくれてそばの栽培にも目を付け、荒廃地問題にも活動するようになりました。 単独で始めた蕎麦打ちが後輩の代からは学校でも援助してくれるようになり、私が繋いだリレーだと思うと凄く嬉しいです!
卒業式当日の朝、目標にもしていた100回目のそば打ちを行って、ふと思うことがありました。
私自身、内向的な性格で自分の感情を塞ぎ込んでしまったり、周りの目を気にして気持ちが沈むことや、不安な時があり自信を持てず自分自身を見失っていました。
そんな時そば打ちをはじめたことにより自分にとって1つ自信を持てる特技が出来、自分自身の性格や考え方を少しずつ変えるきっかけにもなりました。
周りの先生や友人からも「明るくなったね!」と言われるようになりました。 そばを通じて出逢えた素敵な方々のおかげで今の私がいます。
──お一人で始めた活動が、次の代まで続いていることはとても嬉しいですね。そばの活動で現在取り組まれていることはありますか?
現在は、各地で蕎麦打ち修行や高遠にある『きし野』というお蕎麦屋さんで勉強をさせて頂いています。
高校ではそば打ちの授業を行う際に講師として招いていただき、蕎麦打ち指導も行っています。
イベントでは長野県の高遠新そば祭り、県外では静岡県の佐久間新そば祭りに参加しました。
お客さんとのふれあいがとても楽しく、年代問わず、蕎麦打ちに興味をもってもらえるきっかけの一つになれば嬉しいと思います。
また、きし野さんを通じて出逢えた『そば学』の著者、信州大学教授の井上直人さんが月1で開いている信州伊那そば研究会に参加させていただき《どうづき蕎麦》を研究中です。
(どうづき蕎麦とはそばの実を製粉せず杵搗機で直捏ねして打つ貴重なおそばです。)
初めてこのどうづき蕎麦に出逢った時、製粉したそばとは違い透明感があり蕎麦の実の断面にあらわれる胚芽のS字みえるほどのおそばに出会いました。 そばの実の甘皮などの鮮やかな色合いが見え、そばそのものの甘さをこんなにも強く感じられることに感動したことを今でも忘れません。
蕎麦の実を製粉せず蕎麦の香りを閉じ込めたまま打つおそばに衝撃を受けこの蕎麦に出会ってから蕎麦そのものを活かし、スイーツにも繋げたいと思うようになりました。
これは余談ですが、2024年に井上教授が新作本を出版する予定です!!
他には、大竹まことさんのゴールデンラジオの取材にもご紹介頂いたこともあり、そばの魅力を発信しております。
そば屋を巡ってインスタグラムで紹介したり、粗挽きの変わりそばの研究やそばスイーツを作り、そばの可能性を研究中です。
高校生からそば打ちを初めて5年目になりますが、様々なお蕎麦屋さんに行き、お店のご主人とそばについて話すことがとても好きなんです。
私自身そば打ちを出来るからこそ、店主のそばに対する想いやどうしてそば打ちを始めたのか?などのきっかけを話すのが、そば巡りの楽しみの一つです!
前職で培った経験を、現在はそばスイーツを作るための経験に活かしています。
そばスイーツも開発中ですが、実際に地元の飲食店のイベントで韃靼そばを使ったカタラーナやチーズケーキを提供しました。
皆さんに喜んで食べてもらえたのでとても嬉しかったです。 見た目からでもそばとわかるスイーツを作りたいと思っており、風味や食感、五感で味わえることを大切にしたいです。滑らかに溶けるものも良いですが最後までそばを楽しめ、また食べたいと思ってもらえるそばスイーツをこれからも開発していきます
──そばの可能性が広がっていき楽しいですね。彩楓さんのそばスイーツ、楽しみにしています!今後の目標や夢はありますか?
これからも蕎麦打ちの面白さやそばの魅力を多くの方に伝えていく事、そばに馴染みのない子供や学生達がそばを身近に感じてもらえるようなそばカフェを作りたいと思っています。
私が大切にしたい一つとして、お客様はもちろん、スタッフ、自分が『笑顔』であること、ショーケースに並ぶ商品を見た時にでる自然な笑顔や、召し上がって頂いた時にでる美味しそうな笑顔。そういった笑顔が溢れるお店を作り1人でも多くの方に幸せを届けていきたいです。
また、今後もそばの魅力を伝えて行きたいと思っており、人それぞれ好みがあるので皆さんにはいろんなお蕎麦と出逢い自分に合ったお蕎麦をみつけてほしいと思います。
そばの実一つにしても、そばの品種や製粉方法・打ち方によりそれぞれのおいしさや楽しみ方があり、それらをそば打ちを通して想いを伝えていきたいです。
夢を職業として考えがちですが、私はその時、その瞬間に思った学びを夢にして生きていきたいです。 また、個人的にですが大切な人たちとの今後の幸せのためにも自分自身が豊かで後悔しない人生を送るため今置かれた環境を活かした生活をしていきたいと思います。
<最後に、彩楓さんにとって“そば色”とは?>
【“多彩”ですね。】
そば色の灰色、そばの甘皮の緑、皮の黒色、打ち手や製粉によってみんな違いますよね。
おそばは勿論のこと、
そばスイーツを通してそばを知って頂けるきっかけを作りたいです。
そば×〇〇のように、いいものといいものを掛け合わせて、提供していきたい。
どんなことも一つではなくいろんな可能性を広げて自分が新しいものを生み出す側になりたいです。 蕎麦をきっかけに出逢えた方々のおかげで自分自身が変われたので今後もそばを通じて多くのご縁を大切に繋いでいきたいです。
下平彩楓さんのSNS
Instagram : @sobauti_7
Tiktok : @sobamakinggirl_ayaka